「AIに仕事を任せたい」と思っても、いざ Claude Code を前にすると Skills だの MCP だの Hooks だの、知らない言葉が一気に出てきて手が止まります。このシリーズは、その用語の壁を一つずつ崩していく全10回です。第1回の今回は、個々の機能に入る前に「地図」を渡すのが目的です。
このシリーズ(全10回・順次追加)
そもそも Claude にはどう「触れる」のか
本題に入る前に、足元を整理します。同じ Claude でも、入口によってできることの性格がかなり変わります。主な触れ方は次の4つです。
| 入口 | 性格 | 向いていること |
|---|---|---|
| Claude.ai / アプリ(チャット) | 会話ベース | 相談・文章作成・調べもの |
| Claude Code | エージェント型(開発・ファイル操作) | コードやファイルを実際に触る作業 |
| Claude Cowork | エージェント型(作業の委任) | 複数ステップの作業をまるごと任せる |
| Claude API | 開発者向けの接続口 | 自分のプログラムから Claude を呼ぶ |
このうち上の3つはユーザーが直接使う「製品」、API だけは「自分のアプリに組み込むための口」と毛色が違います。なお Claude Code はターミナル専用ではありません。ターミナルに加え、デスクトップアプリ・Web・IDE 拡張からも使えます。
このシリーズで扱うのは Claude Code です。
Claude Code が「チャットと違う」決定的な点
チャット版は、こちらが一手指示するたびに一手返ってくる“往復”です。これに対し Claude Code は、「タスクを受け取る → 道具(ツール)を選ぶ → 実行する → 結果を見る → 次の手を決める」を、終わるまで自分で繰り返します。
専門的にはこれを「エージェントループ」と呼びます。ターミナルの中で回り続ける while True(無限ループ)のようなもの、と考えると腑に落ちます。だから「このバグを直して」と一度頼むだけで、原因を探し、修正し、テストを走らせ、直るまで続ける——という働き方ができるのです。
本体に「機能を足す」拡張レイヤー
Claude Code は素のままでも優秀ですが、使い込むほど「毎回これを説明するのが面倒」「外のデータも見てほしい」といった欲が出ます。それを埋めるのが拡張レイヤーです。代表的なものを役割で並べると、こうなります。
| 拡張 | 役割の一言まとめ | 解決する不満 |
|---|---|---|
| CLAUDE.md | 毎回読まれる「プロジェクトのルール」 | 前提を毎回説明したくない |
| Skills | 必要なとき呼ぶ「手順書」 | 同じ指示を貼り直すのが面倒 |
| Subagents | 別文脈で動く「専門の作業担当」 | 長い作業で話が散らかる |
| Hooks | 決めた時に自動で動く「安全装置」 | 整形やチェックを忘れる |
| MCP | 外部サービス・データへの「接続口」 | 社内のデータを見せられない |
このシリーズでは、このうち Skills・Subagents・Hooks・MCP の4つを1つずつ取り上げ、実際に手を動かしたテーマには「学習編/実践編」を用意します。さらに最後の2回で、作った部品をまとめて配る Plugin・Marketplace を扱います。
進め方のロードマップ
コツは、全部を一度に覚えないこと。困りごとが出てから一つずつ足すのが正解です。進む順番を1枚にすると、次のようになります。
① まず部品を作る(できた順に)
Skills → SubAgents → Hooks → MCP の順がおすすめです。「手順書(Skills)」から始め、「分業(SubAgents)」、「自動化(Hooks)」、最後に外部とつなぎたくなったら「接続口(MCP)」という流れ。いきなり全部やらず、必要になった部品から足していけば十分です。
② まとめて共有する(必要になったら)
部品が増えてくると、「これをチームでも使いたい」「別のPCでも同じ設定にしたい」という段階が来ます。そこで、作った部品をひとつの箱に詰めるのが Plugin、その箱を並べて配るのが Marketplace です。最後の2回でここまで扱い、ひとまずの完成形まで地図を描き切ります。
まとめ ― この地図を持って次へ
- Claude Code はゴールまで自分で手を動かし続けるエージェント。チャットの“往復”とは別物。
- 4つの部品は「手順書(Skills)・分業(Subagents)・自動化(Hooks)・接続口(MCP)」。それぞれが具体的な不満を解決する。
- 増えた部品は Plugin/Marketplace でまとめて共有できる。
次回は、最初の一歩 Skills です。「毎回同じ指示を貼っている」あの面倒を、1枚のファイルで終わらせます。